拾われたロッテの入団会見では不覚にも泣きそうに…トライアウトからテスト生としてキャンプイン
「今岡にはプライドがないんか?」
2009年11月11日、周囲に批判を浴びながら、僕は12球団合同トライアウトを受けた。舞台は偶然にも阪神の本拠地・甲子園球場。当日は雨のため、室内練習場が会場となった。
プライドうんぬんなど関係なかった。とにかく現役を続行したい。その一心だった。他球団には自分の生きざまを見て欲しい。参加することに意義があった。覚悟が決まっていたから、緊張しないだろうと思っていたが、日本シリーズ以上といっていいほど緊張した。
8打席立って安打性の打球は2本。3四球を選んだ。合同トライアウトにはルールがあり、その日から1週間以内に獲得に名乗り出る球団がなければ、自動的に野球選手を辞めなければならない。すでに腹は決まっていた。
翌日、スポーツ紙に「今岡、広島入りが有力」「カープ今岡誕生」と報じられた。紙面には広島の編成担当者のコメントが出ていたが、実際は僕のところに、どこからも連絡はなかった。
1週間の期限の日がきた。旧知のスポーツ紙の番記者と「引退記事」を作成していたが、幸運にも最終日に千葉ロッテから電話がかかってきた。