“喪失”との向き合い方を描いた 芥川賞作家・伊藤たかみ氏に聞く

公開日: 更新日:

「僕自身、昔は葬式の精進落としで笑いながら酒を飲んだり寿司をつまんだりしている大人を見て、“不謹慎な!”なんて思っていたんです。でも、今はあれが喪失と折り合いをつけるのに必要なんだと自然に理解できるようになった。そういう部分を表現できていればうれしいですね」

 著者は今、自分の形見づくりについて考えているという。

「主人公の太一同様、僕にも幼い息子がいますので、何か形見になるようなものを用意しておくべきだと思うんです。でも、物に執着しない性質で本ですらどんどん処分してしまうので、面白みのある物を何も持っていないんです(笑い)。読者の皆さんは、用意していますか? そうだ。次回作は、エンディングノートを題材にしてみようかな」


◇いとう・たかみ 1971年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で第32回文藝賞受賞。「八月の路上に捨てる」で第135回芥川賞を受賞。「ドライブイン蒲生」「海峡の南」「秋田さんの卵」など著書多数。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる