著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

究極の“上から目線”

公開日: 更新日:

「SATELLITE」

 カバーの「Tの字模様」が印象的だが、それが何なのか一瞬戸惑う。じっと目を凝らすと幾何学的な構造や規則性のある組織体が見え、やがて「T」全体が海に突き出た地球上の半島の一部だと分かる。
 超高解像度の人工衛星写真を、気鋭の写真家・佐藤健寿が全面監修。
「写真技術と宇宙工学の交差点から、誰も見たことのない『惑星の風景』を描き出している」(帯から)
 本書の背景には、Google社に衛星画像を提供している、米デジタルグローブ社の衛星撮像技術がある。ちなみに撮像に使われた人工衛星は、北極と南極をめぐる「極軌道」で地球を回っている。いわば縦方向の大きな輪を描きながら、地球全体をくまなくスキャンする仕組みだ。
 A5判、上製。208ページ。全125シーン。巻頭にそれらの場所を配置した世界地図を掲載。目次同様、ここから各シーンへたどり着くことが出来る。大まかに地図上の位置関係を把握してから読み始め、最後に再び戻ってくることをお勧めしたい。

 さながら机上の「ミニ世界旅行」のような読書体験だ。解像度は十分。色合いもナチュラル。カタチの面白さについ引き込まれ、細部を解読するように見る。各シーンのタイトルと解説文が格好のガイドになる。それらと写真を照合して位置や実際の大きさ、歴史的/文化的/自然科学的バックグラウンド情報を重ね合わせていくというあんばい。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ