究極の“上から目線”
「SATELLITE」
カバーの「Tの字模様」が印象的だが、それが何なのか一瞬戸惑う。じっと目を凝らすと幾何学的な構造や規則性のある組織体が見え、やがて「T」全体が海に突き出た地球上の半島の一部だと分かる。
超高解像度の人工衛星写真を、気鋭の写真家・佐藤健寿が全面監修。
「写真技術と宇宙工学の交差点から、誰も見たことのない『惑星の風景』を描き出している」(帯から)
本書の背景には、Google社に衛星画像を提供している、米デジタルグローブ社の衛星撮像技術がある。ちなみに撮像に使われた人工衛星は、北極と南極をめぐる「極軌道」で地球を回っている。いわば縦方向の大きな輪を描きながら、地球全体をくまなくスキャンする仕組みだ。
A5判、上製。208ページ。全125シーン。巻頭にそれらの場所を配置した世界地図を掲載。目次同様、ここから各シーンへたどり着くことが出来る。大まかに地図上の位置関係を把握してから読み始め、最後に再び戻ってくることをお勧めしたい。
さながら机上の「ミニ世界旅行」のような読書体験だ。解像度は十分。色合いもナチュラル。カタチの面白さについ引き込まれ、細部を解読するように見る。各シーンのタイトルと解説文が格好のガイドになる。それらと写真を照合して位置や実際の大きさ、歴史的/文化的/自然科学的バックグラウンド情報を重ね合わせていくというあんばい。