秋の夜長の“上質な暇つぶし”
「雑学うんちく図鑑」ケン・サイトー著
「イラストレーターの著者が文字だけでは分かりにくい雑学ネタを絵と文で表現」「博学になるトリビア200本超!」
そんなタイトルや帯コピーに引き込まれ思わず手に取ったのだが、予想を上回る情報の量と質にニンマリ、その場で時を忘れ読みふけった。
本作りの現場にDTP(パソコン上での割り付け)が導入され幾星霜。フォントの数は日々増え続け心強い限りだが、「手描きの文字」を書籍のなかで見る機会はずいぶん減ったように思う。手描き文字を「魅せる」には「反復して同じ字形を描き続ける」才能なり訓練が必須。いつか腕っこきの「描き師」と組み、手描き文字メーンで本を作ろうと思っていたら、本書に先を越されてしまった。
四六判、並製、束22ミリ。表紙に茶色の板紙を使用。赤い特色インキで刷られたイラスト+解説文が表1、表4を埋め尽くす。一覧できる内容見本といった趣。本文はグレー調の嵩高紙、見た目より軽く、めくり具合もしなやか。ザックリとした質感と落ち着いた色合いに「ホッ」とさせられる。親近感の演出が憎い。