著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

2キロの重みは“ダテ”じゃない

公開日: 更新日:

「Ballet」写真・Henry Leutwyler

 実際手に取って本書を鑑賞し終えた読者は、いろいろな意味で「身体」について考えさせられるだろう。

 マイケル・ジャクソンの遺品を撮影した著名カメラマンによる、ニューヨーク・シティ・バレエ団の写真集。2012年冬、バックステージへの立ち入りを許された写真家は普段、目にすることのない「現場」に赴く。全4部構成。躍動的なレッスン風景、踊り手の表情のアップ、楽屋でのメークの様子、舞台袖、袖から見たステージ、衣装部屋、ばんそうこうやにじんだ血の痕が痛々しいダンサーの足、使い込まれたトゥシューズ……。ひたすら写真の連続。文字要素はキャプション(説明文)はおろか、ノンブル(ページ番号)すらない。

 電話帳を1回り大きくしたサイズ。束(厚さ)43ミリ。上製、かがりとじ、布クロス装、三方金、背表紙にタイトルの金箔押し、表紙に別刷りの写真を貼り付け、と豪華だ。量ってみると約2キロ。重厚な造本はこの版元のお家芸、まさに圧巻だ。

 紙面に目を戻すと、モノクロとカラーが混在。一見、白黒の写真も4色刷り。やや青みがかったトーンに調整してある。本文用紙は上質系。「テカリ」がなく、全編落ち着いたマット調。沈みがちな色味を補うべく、印刷現場でインキを「モリモリ」に盛ってある。その証拠に、本書を開くとインキの香しい刺戟が鼻を突く。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動