「『忖度』の構造」榎本博明著
昨年の流行語にもなった「忖度」。森友・加計学園問題だけでなく、政権の顔色をうかがうマスコミの自主規制や、職場の上司と部下の関係まで、さまざまな場面で横行する忖度の構造を明らかにしながら、日本社会の病理を分析する現代社会論。
忖度が機能するためには、におわす権力者とにおいをかぎ取ろうとする部下がいなければならない。忖度というのは組織ではごく普通にあることなので、忖度の存在を議論するよりも、忖度によって行われたことが、不適切ではなかったことを説明することが大切なのだという。
忖度を生み出す「察する」ことが大切な日本的コミュニケーションの特徴を分析しながら、「忖度」社会でトラブルから身を守る方法まで説くビジネスマン必読の書。(イースト・プレス 861円+税)