「東京パパ友 ラブストーリー」樋口毅宏著

公開日: 更新日:

 有馬豪は30歳の若さでファンドマネジメント会社のCEO。スタイルが良く家事を完璧にこなす妻と可愛い娘に豪壮なマンション。絵に描いたようなエスタブリッシュメントだ。

 一方の鐘山明人は52歳で、若いときはカリスマ建築家として名を馳せたが、やり手の都議会議員の妻と結婚し子供ができてからは、家事、育児すべてを担って妻をサポートする専業主夫となっている。およそ共通点がなさそうな2人だが、豪の娘と明人の息子は同じ保育園に通うパパ友だった。

 明人に飲みに誘われ楽しく過ごした豪だが、別れ際に唇を奪われてしまう。最初は怒ったものの、なぜか明人に引かれている自分に気づく豪。再会してついに一線を越えた2人は背徳の愛に溺れていく。秘密裏に逢瀬を重ねる豪と明人だが、天網恢々疎にして漏らさず。ある日2人の関係が双方の妻子の前でバレてしまうことに……。

 ボーイズラブの体裁を取りつつも、育児と仕事の葛藤、子供が生まれてからのセックスレス、夫婦間の階級格差、女性のDV、ミソジニーといった、現代家族のシビアな現実に鋭く切り込んだ問題作。

 (講談社 1400円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動