「へろへろ」鹿子裕文著
1991年、社会福祉士の下村恵美子は仲間と、福岡市のお寺の一角を借りてデイサービスを始める。きっかけは、ごみ屋敷化した部屋で一人暮らしをする認知症の大場さんとの出会いだった。彼女が施設に入所を拒まれ、「ばあさま1人の面倒もみきらんで、なんが福祉か!」と憤り、自力で立ち上げたのだ。その「余計なことは一切しない」というデイサービスが人気を呼び、古民家を借りてグループホームの運営を始めることに。
しかし、資金はゼロ。下村らは行商などで資金を捻出。さらに法律の改正で施設の閉鎖に追い込まれた下村らは、再びゼロから特別養護老人ホームの建設に乗りだす。
「宅老所よりあい」開設までの顛末を記録した痛快実録。
(筑摩書房 800円+税)