「森林で日本は蘇る」白井裕子著

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 世界有数の森林資源を持ちながら、宝の持ち腐れにしている日本の森林政策を検証するリポート。

 昨年建てられた住宅のうち約57%、一戸建てに限ると約90%が木造だが、そのほとんどが戦後の建築基準法によって造り上げられた「在来木造(在来工法)」によるもの。現在の法制度下では「伝統木造」は建てられない。しかし、数々の実験で木造の伝統構法の方が耐震性に優れていることが明らかになっている。

 日本の木の性質を生かすとともに多くの木材を使う伝統木造は、山林や山村にお金を還元し山を守り、木を仕立てる技能の発展や地域の産業や文化の継承にもつながると著者は指摘する。こうした建築基準法の問題点から、合理性を欠いたバイオマス発電など、現場を歩き、矛盾だらけの現実を伝える。

(新潮社 792円)

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