「国家とはなにか」萱野稔人著
「国家とはなにか」萱野稔人著
著者は「国家はひとつの運動」であり、それも「暴力にかかわる運動」だという。国家とはなにかと考えると取っ掛かりがなく、いかにもとらえがたい。一方で国家を無視して自らのルールで行動したり、税金を払わなかったりすれば、その目から逃れるために、逆に国家の存在を意識せざるを得ない。
そんな何ともとらえどころのない国家などというものがなぜ存在し、そもそも国家が存在しているとはどういうことなのかを考察した論考。
まずは国家を成り立たせる因子とは何か、そしてそれはどのような機能や効果を持つのかを論じ、国家を存在させ、活動させるロジックについて考察。
さらに歴史を振り返り、国民国家といわれる国家形態が形成されるプロセスや、資本主義との関係にも論を展開する。
(筑摩書房 1430円)