「弱い者(もん)らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」スージー鈴木著
「弱い者(もん)らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」スージー鈴木著
1979年、中1になった「僕」は、欠席した同級生のヤスダの家にプリントを届けに行った。アパートの2階の部屋で、ヤスダは「どん兵衛」を食べていた。テレビはなく、AMラジオから八神純子の「想い出のスクリーン」が流れていた。「俺な、この曲、気に入ってるねん」と言うので、僕はラジオでこの曲をテープに録音してヤスダに渡した。
翌日からヤスダは学校に来なくなり、夜逃げしたという噂が流れた。1週間後、ヤスダの家に行ったら本棚にテープが残されていた。もしかしてラジカセを持っていなかったのでは……。
さまざまな曲を背景に、貧困や差別をみつめながら生きる少年を描く。
(ブックマン社 1760円)