「六月のぶりぶりぎっちょう」万城目学著
「六月のぶりぶりぎっちょう」万城目学著
大阪女学館の教師、滝川が銃声を聞いた夢を見て目を覚ましたのは、6月2日の午前6時2分。誰かがホテルの廊下を走り抜け、「天下」と記した木札付きの鍵を落としていった。奧の部屋に男性が倒れていて、その背中に赤い染みが広がっているのに気づいた。「この人、死んでる!」と悲鳴を上げて、滝川は気を失った。
目覚めたら、岡島藤吉郎が滝川の額に銃を向けて、「アンタがボスを殺したのか」と尋ねた。そして「天下」をどこに隠したと詰問する。するとソフィー先生が、探しているものは最初からこの部屋にはないと言う。
教師がなぜか「本能寺の変」の世界に入り込んでしまう、迷路のようなミステリー。
(文藝春秋 1870円)