深まらない「日曜討論」NHK伊藤雅之アナの記者魂はどこへ
診断結果は…【不可】
NHK「日曜討論」のMCは、ニュース番組のMCとは違う気苦労があって大変だと思う。
例えば、各党政策責任者の討論会では「政府与党寄りの進行だ」「出演者の発言を垂れ流しているだけではないか」などと批判され、経済・労働問題がテーマでは「討論参加者が多すぎる」「顔ぶれが偏っている」などの不満の声が上がる。だが、子細に見ていくと当たらずといえども遠からず。
1月はそれらが的外れではないと思わせる象徴的なシーンがあった。20日のテーマは「働き方改革」。論者は政府の経済財政諮問会議の議員に就任した竹森俊平慶大教授や、働き方改革関連法に批判的な中島敬方近畿大教授のほか、社会保障、企業の人事管理などの専門家7人。現在60歳定年、65歳まで再雇用で働くことが当たり前になりつつある中で社会保障との関連をどう位置づけるのか、各個人の選択肢に合った制度設計がどこまで可能なのかが重要な論点のはずだが、伊藤の進行はいかにも総花的で議論が広がるばかり。ぐっと絞り込む力技がないため、せっかく「働き方改革ではなく、働かせ方改革の視点が気になる」といった重要な論点が提示されても深まっていかない。