「ラジオから流れる落語を聞きながらだから気が散って…」

公開日: 更新日:

 馬風は1939年生まれ、生家は千葉県野田市の床屋である。中学生時代から落語が好きで、NHKラジオの演芸番組を夢中で聞いていた。落語家になりたいと思うのは必然である。

「親父に言ったら大反対された。『落語家と相撲取りは修業が大変だ。おまえなんかにつとまるわけがねえ。床屋になれば食いっぱぐれがねえぞ』ってね。それで理容学校に入れられたが、こっちはやる気がないから覚えが悪い。公園にいるホームレスに頼んで、ひげを当たらせてもらう実習があった。連中は長いこと剃ってないからゴワゴワのひげで、蒸しタオルで蒸してもダメだ。シャボンをつけてカミソリ当てたらびくともしねえ。『坊や、カミソリ貸しな』と自分で剃ったのを見て、俺は向いてないと悟ったね。その後インターンとして預けられたのが東陽町の叔父貴の床屋で、一見の客のひげ剃りが役割だ。ラジオから流れる落語を聞きながらやってるから気が散ってる。はずみで客の眉毛片っぽ落としちゃった。人のいい客で黙って帰ったから大事に至らなかったけど、これであきらめがついたね」

 落語の「無精床」に出てくる見習の小僧そのものではないか。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方