「ラジオから流れる落語を聞きながらだから気が散って…」

公開日: 更新日:

「だから俺、落語家になってから『無精床』ができなかった。あの小僧みたいにのべつ客の顔を傷つけてたからな。親父もあきらめて、落語家になるのを許してくれた。店の常連客に寄席の太神楽(曲芸)の鏡味小鉄さんが親類という人がいて、小鉄さんに頼んでくれた。入谷の小鉄さん宅を訪ねると、ちょうどラジオで落語をやってる。これが先代小さんの『粗忽長屋』だったのよ」

 まさに運命の出会いである。

「小鉄さんは、『小さんはまだ若いし、将来名人になるだろう。協会の頭にもなる人だ。あたしはこの人を推すね』と言った。即『お願いします』と頼んだよ。それで目白の小さん宅へ連れてってもらって弟子入り志願したら、小さんも小鉄さん直々の紹介だから断れない。すんなり許されて、野田から通うのは無理なんで、内弟子にすると決まった。それが1956年の12月だ。19日が俺の17歳の誕生日なんで、その日から住み込むことにしてもらったわけよ」

 芸名は本名の輝雄から光の一字を取って柳家小光。いよいよ前座修業が始まった。(つづく)

聞き手・吉川潮

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”