「R-1ぐらんぷり」“無観客”がもたらしたエンタメの可能性
ピン芸人のナンバーワン決定戦「R―1ぐらんぷり2020」の決勝が8日、無観客で生放送された。新型コロナの影響で、ギリギリのタイミングで放送枠を外しにくかったりスポンサーの兼ね合いなどもあり、無観客という苦渋の選択が視聴率に影響を及ぼすのではとネガティブに見る向きもあったが、結果的に新たなエンタメの可能性をしっかり見せてくれた。大金星だ。
優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタルの言葉が象徴的で「桂文枝師匠が最初に僕に1票入れてくれて……」とプロに向けて全力をぶつけた“芸人としての底力”を感じさせた。
会場に観客を入れたお笑いバトルは客の笑いに審査が流れる。僕も審査員をやらせていただくことはあるが、審査員も会場につられて笑ってしまう。「芸人は客が育てるもの」といわれるが、歴代のR―1王者にアキラ100%のような一発芸、ハリウッドザコシショウのキワモノ系が多いのも、会場の雰囲気によるところが大きい。野田クリスタルは「完全なる無観客の中でやるネタ番組よりは全然マシ」と動じなかった。上沼恵美子も自身のラジオで無観客テレビ収録を行ったことに「なんの支障もなかった、観客ナシでしゃべり続けるラジオで鍛えている人間は無観客には動じない」と賛成票を投じている。