TBS日曜劇場「日本沈没」はフシギなドラマ 陳腐な内容なのに視聴率は好調
原作は大ベストセラー、当代の人気俳優をこれでもかと並べ、予算をたっぷり使った最先端CG映像……と鳴り物入りだったが、TBS系ドラマ「日本沈没―希望のひと―」(日曜夜9時)の評判はさっぱりである。いくらSFだとしても、登場人物たちがあまりにも嘘っぽいというのだ。
主人公の天海啓示(小栗旬)は「日本を救うのは自分しかいない」と思い上がったエリート官僚で、まるで2.26事件の青年将校みたいだし、石塚平良(ウエンツ瑛士)ら「日本未来推進会議」の他のメンバーは、各省の精鋭を集めたというのにボンクラばかり。関東沿岸が沈没しても、東山栄一総理(仲村トオル)は首相官邸の緊急対策本部で指揮を執るでもなく、山あいの避難所を訪れて「みなさん、ご苦労さまです」では、まるで村長である。
週刊誌記者の椎名実梨(杏)も、数々のスクープをするのに取材場面は描かれない。異端の地震学者・田所雄介(香川照之)、自民党の二階俊博元幹事長と麻生太郎副総裁を重ねたような里城弦副総理(石橋蓮司)の怪人ぶりも、ギャグとしてはオモシロいが……。