著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<26>「ナベプロ帝国」支配者・渡辺晋はなぜ賞レースに消極的だったのか

公開日: 更新日:

 ジャズグループ「シックスジョーズ」のバンマスにして名うてのベーシストとして、大学生のダンスパーティーや米軍キャンプで演奏していた渡辺晋が、旧来の芸能興行から脱皮し、芸能プロダクションの近代化を目指そうと、妻の美佐と渡辺プロダクションを設立したのは1955年のことである。以降、ハナ肇とクレージーキャッツ、ザ・ピーナッツ、ザ・ドリフターズら人気グループを擁し、中尾ミエ、梓みちよ、沢田研二、布施明、森進一、キャンディーズら数え切れないだけのスターを抱えた。さらには楽曲の原盤権を保有することで音楽ビジネスに乗り出し、番組制作にも乗り出すことで次々とテレビ番組を生み出すなど、「ナベプロ帝国」と畏怖される芸能界の最大勢力となりおおせたのは周知のことである。

 ただし、帝国の支配者である渡辺晋は、かねて「賞レース」への参戦には消極的だった。「黎明期からテレビに関わってきた晋さんにとっては、そのテレビが生み出した賞を争うこと自体がバカバカしいことだった」と証言したのは「日本レコード大賞生みの親」ともいうべき元TBSの砂田実である。けだし事実だろう。しかし、理由はそれだけではない。それこそが、野口修にとっての「勝算」だったのである。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」