2023年上半期 忘れられない物故者たち…多くのアーティストが世を去った
2023年上半期には、多くのアーティストが世を去った。
中でもYMOのドラマー、高橋幸宏さん(1月11日、70歳、脳腫瘍により併発した誤嚥性肺炎)と音楽家・坂本龍一さん(3月28日、71歳、転移後のがん)の悲報にショックを受けた同年代は多かったはずだ。
2人は1980年代をリードしたYMO解散後も互いのラジオにゲストで呼び合ったりと、年長メンバーの細野晴臣を交えて親交は続いた。
坂本さんは東日本大震災後に脱原発を発信したり、被災地で演奏したり、多数のチャリティーコンサートを開催、改憲反対を訴えるなど社会や政治にアプローチしたという印象も強かった。
40代前半の坂本さんとは面識もあった。青山の薄暗いDJバーに連れてこられたらしい坂本さんは混雑する店でコートも脱がずに居づらそうに立ち尽くしていた。私が知人に紹介してもらった際、「どうも、頑張ってください」と返してくれた笑顔はシャイなイメージそのまま。その後、周囲に気づかれないように人混みをすり抜けてひとりで帰ってしまった。
近年はがんからの転移でステージ4だったにもかかわらず、明治神宮外苑地区の再開発見直しを求める手紙を小池都知事らに送っていたことが話題に。これがきっかけで再開発見直しの世論が高まっている。
「つらい。もう、逝かせてくれ」という見出しがスポーツ紙などに載ったのが4月。所属レーベルが公開したツイートには坂本さんが好んだ一節「芸術は長く、人生は短し」が紹介された。