「ウルトラマンブレーザー」は半沢直樹“特撮版”! おっさんを主人公に据えたテレ東の狙い
狙いは当たったようだ。第1話でいきなりX(旧ツイッター)のトレンド世界1位、視聴率や配信再生数も好調で、“ウチのお父さんみたいなウルトラマン”は子どもたちに認められたようだ。
SNSには「おじさんが主人公なの好き」「これはもうお仕事ドラマだね」「ウルトラマン&特撮弱者の自分でも楽しめそう」という書き込みもあって、大人にもウケている。
「時代を上手に取り入れてますよね。怪獣が暴れるのは、食料である水産資源やクリーンエネルギーを求めてのことで、これは実際の世界的な食料危機や再エネ化が進まない現状の寓話化でしょう。怪獣の襲来を災害と呼ぶのも、自然破壊や地球温暖化などが出現のきっかけとなっているから。怪獣が一方的に悪なのではなく、それを引き起こした人間の傲慢さこそが地球の平和を壊していると訴えているのです」(テレビ番組評論家)
主人公の隊長は部下の面倒見が良くて、デジタル最新機器はちょっと苦手という愛すべき令和版“理想の上司”で、隊員も言いたいことははっきり言い、パワハラや働かさせすぎが批判される今っぽさ。ウルトラマンだって、ただ強いだけでなく、劣勢になるとへっぴり腰でビルによじ登って逃げたり、不用意に高温の怪獣に組み付いて「アチッ、アチッ」と慌てたりとユーモラスだ。人類、ウルトラマン、怪獣すべてが愛おしく、みんな大切な存在なんだというのが、今シリーズのメッセージらしい。
ウルトラマンもいよいよSDGs。ジェンダーレスも進むだろうから、次のウルトラマンは女性、となるとウルトラウーマンかもしれない。
(コラムニスト・海原かみな)