著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHKドラマ10「大奥 Season2」は“火曜夜の大河ドラマ”と呼びたい力作だ

公開日: 更新日:

 男女逆転の大奥を舞台とする、NHKドラマ10「大奥 Season2」が完結した。今年1月期のシーズン1に続き、今回もその“ドラマ的熱量”に圧倒された。

 前半の「医療編」では、男子の命を奪う「赤面疱瘡」の撲滅を目指す田沼意次(松下奈緒)や平賀源内(鈴木杏)の奮闘が描かれた。また後半の「幕末編」では幕府崩壊へと向かう動乱の時代を背景に、13代将軍・徳川家定(愛希れいか)と御台所・天璋院(福士蒼汰)の情愛や、公武合体で朝廷から降嫁してきたニセの和宮(岸井ゆきの)をめぐる騒動などから目が離せなかった。

 やがて江戸城は無血開城され、大奥も消滅。アメリカ行きの船上で天璋院が出会ったのは、日本初の女子留学生のひとり、津田梅子(宮崎莉里沙)だ。少女の梅子は、父から「よき妻となるため」の留学と聞かされていた。しかし、天璋院は言う。

「大きなことをなさるのは、きっと(女性である)あなたご自身かと」

 このドラマ、奇抜な設定をテコにして、親子、夫婦、ジェンダーや差別など多彩な現代的課題を織り込んできた。それを支えたのは俳優陣の熱演だ。松下、鈴木、愛希、岸井は、シーズン1の5代将軍・綱吉の仲里依紗や8代将軍・吉宗の冨永愛らに負けない存在感を見せていた。2つのシーズンを合わせて「火曜夜の大河ドラマ」と呼びたい力作だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」