どの役を演じても滑稽さがにじみ出る 岡部たかしの「おもろい」人生
劇団を3年でやめ、芸人で俳優の九十九一に出会ったことが大きな転機となった。東洋館に出るようになったのも、九十九の勧めだった。さらに、九十九との縁で村松利史や岩谷健司と出会い、「狂ったように『おもしろさ』について考える日々がはじまった」(文芸春秋「週刊文春」24年4月11日号)という。村松は「本当におもしろいことは自分の中からしか出てこない」という考え方で、役になりきるよりも、あくまでも「自分のノリ」で演じることが大切だと教えられた(同前)。
「人間は誰しも複雑だけど、どこか滑稽やから。どの役を演じても面白いと思われたい」(TBS系「情熱大陸」24年4月28日)と岡部は言う。その複雑さや滑稽さは、演じる人間からにじみ出るものだ。だから彼は何か判断に迷ったときは「おもろいか、おもろないか」で決めるという。
離婚した妻の元で育った息子・岡部ひろきは、父の舞台を見て「親父って、こんな面白いことをやってるんや」と感銘を受け、役者の道を志した。その相談を受けた際、岡部は「おもろかったら、ええんちゃう」と即答した(光文社「女性自身」24年4月23日号)。そして息子は現在、父も出演したNHKの朝ドラ「虎に翼」に出演している。実に「おもろい」人生だ。