NTT Comラグビー部コーチ 栗原徹さん(37)喘息
発作もじわじわくるので、起きるときは“あ、そろそろだな”とわかるんですよ。その時点でサルタノールを吸入すれば大事には至りません。苦しくなりかけたら四つん這いになるとか、息を細く長く吐くことで肺に圧をかけるなど、呼吸が楽になる方法を誰に言われたわけでもなく編み出しました。
なにより自分にとってよかったのは、ときどき休まなければならなかったことで、効率のいいプレーを考えて工夫するくせが自然に身についたことです。たとえば、現役時代のフルバックというポジションは非常にたくさんの距離を走るのですが、自分はなるべく無駄のないコース取りをすることでカバーしました。
思えば、サッカー少年の頃からそうでした。華麗なシュートを決める人よりも、それに至る手前のなんでもないパスに魅力を感じるタイプで、ラグビーでも休んでいる間にチームの動きを考えることが多いんです。復帰後にはアイデアがあふれて仕方ないくらい。「喘息の人は思考が深くなる」――。そんなふうに言われたこともありますが、もしかすると体力以外のところでチームに貢献する方法を探してきたことが、現役引退後もコーチとして声をかけてもらえた一因かもしれません。