エッセイスト・スエノブ由美子さん(48)子宮がん
■愛犬のおかげで抗がん剤治療に耐えられた
抗がん剤治療が始まると、2クール目には髪が抜け始めたので、潔く髪を切ろうと決めました。ハワイには私のような病気の人を受け入れる美容院があり、そこで、ボブにしたりモヒカンにしたり、ひと通り髪で遊んで、最後に坊主に。涙の断髪を想像していたのですが、写真を撮り、笑いながら、涙を流すことなく坊主にしました。
ハワイの人はおおらかで、私の坊主頭も個性として認めてくれ、坊主のままフラダンスのスクールに通えました。髪が生え始めると「その髪はナチュラルなの? すてきね!」と縮れ毛も褒めてくれる。自分に自信もつき、一度もカツラを使わずに過ごせました。
抗がん剤治療は3週に2回を8クール。抗がん剤治療中は常に吐き気があり、体はしびれて眠れない、何を食べていいのかもわからない。そんな中、ロキシーは体調の悪い時は黙ってそばに寄り添い、元気な時は一緒に遊んでくれました。おかげでずっと鬱々とせずに過ごせました。
手術から5年、ようやく寛解に入りました。アメリカの医療費は相当高いと聞きますが、主人は私に心配させないよう、費用の話は一切しません。私も彼の気持ちに感謝して聞かないことにしています。今、ロキシーは“セラピードッグ”として活動しています。私のつらい時期を救ってくれたように、ロキシーを通して、少しでも多くの人に癒やしを与えられたらと思っています。