なぜ? 「ギックリ腰なら安静に」は“百害あって一利”なし
ギックリ腰は、発症直後は激痛が走るが、まったく動けないのは数分。落ち着けば電話口まで這ったりする程度はできる。その段階で、「ギックリ腰は基本的に心配する必要がない青信号の腰痛! だけど大事にし過ぎると治りにくい黄信号に変わりやすいという。私は大丈夫」と自分に言い聞かせることが重要だ。
「痛み止めの薬を嫌がる日本人は多いですが、短期間だけきちんと使い、できそうなことは普段通りする。活動的であるほど、腰痛は気にならなくなります」
ギックリ腰や慢性腰痛は、ほとんどが原因となる明確な病気がない。椎間板や腰の関節のちょっとしたズレや傷、炎症や血流不足が関係している。これを「非特異的腰痛」といって、通常は遅くとも3カ月以内によくなる。だから安心して、体を動かすべきなのだ。
■「恐怖回避思考」が痛みを長引かせる
しかし、3カ月経っても腰痛が消えず、悩んでいる人も少なくない。
「先に挙げた脳の機能の不具合から痛みが長引いている可能性が高い。私は『恐怖回避思考』と呼んでいます。痛みの体験が痛みへの恐怖を引き起こし、過剰な警戒心から腰を過度に大事にする回避行動を取らせ、体を動かさなくなる。恐怖回避思考が持続している限りは、腰痛から解放されず、再発を繰り返すのです」