三笠優子さん マッサージ師に指摘され病院に駆け込んだ
それから約1カ月後、無気力と倦怠感に襲われ、病院に行くと肝機能の問題ではなかった。ひょっとして……。昔経験した「うつ」に似ている。精神科に行くと、大量出血で生死の境をさまよったことによる体の恐怖で、「うつ」が再発したのです。意識はないのに、肉体が危機を感じ、脳に刻み込まれたようです。
ところが、その件についての記録は大学病院のカルテにはないんです。ということは、病院側に後ろめたいものがあったのかもしれません。
以来、精神科の薬が合わずに時間外に病院に行ったり、なかなか薬との共存は難しいですね。でもやっぱり一番の薬は、ステージとお客さまです。ステージに立つと元気になるし、愉快におしゃべりしていられます。こうして病気の話もオープンにしていると、「私もうつなのよ」なんて声を掛けてくださるのもうれしい。
自分が杖を使ったおかげで、客席を見ると、椅子のワキに杖を置いている方がたくさんいることにも気づけるようになりました。そこまでしてお客さまが来てくださる幸せ、つくづく歌手でよかったと思います。