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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

りりィさんのケース 肺がんの放射線治療は通院で治療

公開日: 更新日:

 ハスキーボイスが思い出されます。1970年代にシンガー・ソングライターとして活躍。女優としてもドラマ映画に多くの作品を残したりりィさんが先週11日、肺がんで亡くなりました(享年64)。74年のヒット曲「私は泣いています」は、私もよく聴いていただけに残念です。

 肺がんは、今年4月の定期検診で見つかったとのこと。ドラマの収録を最後に治療に専念していたそうです。2000年の本紙インタビューで10年の休養期間について「音楽以上にのめり込んでたものがあったんだもの。答えは簡単、子育てよ」と答えていたりりィさん。それから7カ月、「葬儀はしないで」と大切な息子夫婦や家族に見守られながらの旅立ちだったといいます。

 この闘病期間から推察すると、恐らく非小細胞肺がんの末期だったのでしょう。女優の樹木希林さん(73)に紹介してもらった鹿児島の病院で入院して放射線治療を受けていたようです。あくまでも推測ですが、余命を逆算して、負担の重い抗がん剤治療を避け、放射線治療を選択したことがうかがえます。

 3000万円もの薬代(今は半分)が話題になった抗がん剤オプジーボは、皮膚がんの一つメラノーマに適応され、肺がんにも適応が拡大されました。りりィさんのような非小細胞肺がんの末期は、この薬のターゲットですが、がんが縮小した割合は2割ほど。承認前の臨床試験でほかの抗がん剤に比べて優れたデータが得られたとはいえ、“効く人もいる”というのが現実です。

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