著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

がんの標準化死亡比は住みやすい自治体ほど低くなる

公開日: 更新日:

 日本全体のがん死亡率に対して、各自治体のがん死亡率が高いか低いかを数値化したものをがんの標準化死亡比と言います。昨日は数字が大きい(がんで亡くなる確率が高い)自治体に注目しました。今日は確率が低い自治体を見ていきましょう。表は3大都市圏のなかで、がんの標準化死亡比が小さい「ベスト10」をまとめたものです。

 首都圏では東京都杉並区が77.8でトップです。杉並区は、全国平均と比べて、がんで亡くなる確率がわずか77.8%であることを意味します。2位は横浜市都筑区の78.0でした。

 全般的に「住みやすい」といわれる自治体の数字が低い傾向がみられます。ただし、所得との関係は微妙です。平均所得が全国1位の港区は男性が97.6、女性ではなんと116.0です。女性のこの数字は、実は足立区(107.6)よりも高いのです。所得とがん死の確率は、必ずしもリンクしていないようです。

 注目は川崎市です。川崎市は多摩川の南岸沿いに、東西に細長くのびています。その東端、東京湾に面しているのが川崎区、西端の丘陵地(多摩丘陵)にあるのが麻生区です。昨日見たとおり、川崎区の数字は122.9で首都圏最悪。ところが麻生区は、表にあるように81.2で、首都圏3位につけているのです。この2区は、直線距離でわずか20キロしか離れていませんが、川崎区の住民が、麻生区の住民よりも、およそ1.5倍だけ、がんで亡くなる確率が高いというわけです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 2

    離職後、定年後は何をしたい? 第2位「まだ考えていない」…では第1位は?

  3. 3

    悠仁さま「進学に向けた勉学の大切な時期」でも続く秋篠宮家と宮内庁の軋轢

  4. 4

    旧ジャニーズ自社タレントの誹謗中傷に通報窓口設置も…「当事者の会」見て見ぬふりの“二枚舌”

  5. 5

    もはや任意じゃなくて強制…12月2日のマイナ保険証一本化に向けて強まる国民への包囲網

  1. 6

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  2. 7

    厚労省が職員9万人を対象に「マイナ保険証アンケート」の愚策…エグすぎる質問事項の“大きなお世話”

  3. 8

    “終わった説”から大逆襲!巨人・菅野智之「最後の全盛期」を手繰り寄せる意外な要因とは

  4. 9

    機内食の猛クレームで通路で土下座をさせられました

  5. 10

    初V京都国際の《正体》と《左腕王国の秘密》…野球部“以外”の男子生徒わずか12人