雪が降った後は心筋梗塞に注意を
以前、この連載でも紹介しましたが、「寒い日が続く冬季は心臓病の発症リスクが高まる」という研究が報告されています。外気温が下がると血管が収縮し、血圧が高くなることから、心臓への負担が増えてしまうのでしょう。
3月になりましたが、場所によってはまだまだ雪が降り積もる地方もあると思います。
先に述べたとおり冬季は心臓病のリスクに注意が必要ですが、カナダ内科学会誌(2017年2月号)に降雪と心筋梗塞の関連を検討した研究論文が掲載されました。
この研究は、カナダで行われたもので、1981~2014年の11~4月における降雪量(センチ)、降雪時間(時)と、心筋梗塞による入院または死亡との関連を検討したものです。健康管理データベースを用いて、12万8073件の心筋梗塞入院例、6万8155件の心筋梗塞死亡例が解析の対象となりました。なお、結果に影響を与えうる一日の最低気温や年齢などは統計的に補正して解析を行っています。
研究の結果、降雪量、降雪時間は男性においてのみ、心筋梗塞による入院もしくは死亡に関連していました。降雪量0センチと比較して、20センチで入院が16%、死亡が34%、また降雪時間が0時間に比べて、24時間では入院が8%、死亡が12%、統計学的にも有意に増加することが示されました。一方、女性ではいずれの結果においても明確な差が出ませんでした。
降雪量や降雪期間が心筋梗塞を引き起こす直接の原因かどうかは不明です。男女差があるので、因果関係ではないように思われます。しかし、男性は雪が降った後、雪かきする可能性が女性より高いことも考えられます。こうした作業が、あるいは心臓に負担を与えているのかもしれません。