歯を残すほどアルツハイマー病のリスクは軽減される?
歯磨きなどの口腔内ケアがおろそかになると、加齢とともに歯が抜けたり、虫歯になったりと、歯を喪失してしまう可能性が高まると考えられます。米国老年医学会誌の電子版に、歯の残存本数と認知症発症リスクを検討した研究論文が3月8日付で掲載されました。
この研究は、福岡県糟屋郡久山町に居住する人を対象とした疫学調査(久山町研究と呼ばれる世界的にも有名な研究です)で、研究開始時に認知症を発症していない60歳以上の高齢者1566人を、5年間追跡したものです。
参加者は、歯の残存本数が「20本以上」「10~19本」「1~9本」「0本」の4つのグループに分類され、各グループ間で認知症の発症リスクが比較されました。なお、結果に影響を与えうるような「年齢」「性別」「教育水準」「歯磨き頻度」や「生活習慣病の有無」などで統計的に補正して解析を行っています。
その結果、認知症の発症リスクは、歯の残存本数が20本以上に比べて、10~19本で1.62倍、1~9本で1.81倍、0本で1.63倍、統計学的にも有意に増加しました。