著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

800人のデータで分かった最も良い印象を与える笑顔とは?

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 コミュニケーションにおいて、言葉を用いない感情の表現、たとえば顔の表情であるとか、しぐさなども重要な要素といえるでしょう。程度の差はあれ、私たちは相手の表情などから、その場の雰囲気やその人との関係性を把握し、コミュニケーションを行っています。

 笑顔は他人に良い印象を与えることが多いですが、あからさまな作り笑いや軽蔑的な笑いなどは、相手に不快な印象を与えることもあります。

 では、最も良い印象を与える笑顔とはどんな笑顔なのでしょうか。

 コンピューターの立体画像でシミュレーションしたさまざまな顔の画像を用いて笑顔から受ける印象を検討した論文が、2017年6月28日付で「プロスワン」という科学誌に掲載されました。

 この研究では、複数の感情表現を可能にした顔のアニメーションアプリを開発し、それを18~82歳の802人に評価してもらいました。被験者は顔の画像をタブレット端末(iPad)で閲覧し、表情の印象について「非常に悪い」「悪い」「普通」「良い」「非常に良い」の5段階で評価しました。さらに、その画像に関して「怒り」「軽蔑」「嫌悪感」「恐怖」「幸せ」「悲しみ」「驚き」の7つのどれに該当するかを示してもらい、「ウソの笑い(作り笑い)」か「本当の笑い」か「不気味な笑い」か「心地よい笑い」など、その度合いをアプリ上のスライダーバーを用いて評価しています。

 その結果、口角の向きや笑顔の程度、歯の見え具合のバランスで、笑顔の印象が大きく変化することが示されました。最も良い印象を与える笑顔は、口を大きく開いた満面の笑みではなく、むしろ控えめで、左右対称に笑みを浮かべるというものでした。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

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