がん細胞がヒトの免疫監視システムをすり抜ける仕組み

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 がん細胞は目印となるがん抗原さえも変化させていく。その仕組みのひとつがスプライシングバリアントだ。

 細胞内ではDNAをメッセンジャーRNA(mRNA)が転写する。それをリボソームと呼ばれる工場で読み取ることで、皮膚や骨、毛髪や酵素などの原材料となるさまざまなタンパク質を作っている。

「転写直後の前駆体mRNAは、タンパク質の情報が含まれているエクソン(翻訳配列)と含まれていないイントロン(非翻訳配列)が交互に並んだ構造をしています。一人前のmRNAになるには、イントロンを切り落としてエクソンのみになる必要があります。これをスプライシングと言います。この時、何らかの理由でがん細胞の抗原に関わるエクソンが切り落とされたらどうでしょう? そのがん細胞はがん抗原を持たず、がん免疫監視機構から逃れることになります」

 こうしてがん免疫監視機構から逃れたがん細胞は生き延び、増殖を続けた結果、がんになるというわけだ。

 さらに、がん細胞はその周囲に、がん微小環境と呼ばれる“城壁”を築き、免疫から逃れようとする。

 その環境下で作用しているのが、がん細胞が免疫を抑制する仕組みである免疫抑制で、その代表が免疫チェックポイントなのだ。

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