中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日米で注目研究 「座り過ぎ」はがん死の可能性が8割増える

公開日: 更新日:

 今回の研究で、がんの部位ごとのリスクは明らかになっていません。ただし、これまでの欧米の調査では、長時間の座位によって、特に乳がん、卵巣がん、多発性骨髄腫、前立腺がん、大腸がんが増えることが分かっています。

 それでも今回の研究が注目なのは、対象の8002人に加速度計を装着してもらい、座位と動いている時間を連続する7日にわたってキッチリ調べている点です。従来は、参加者の自己申告制でしたから、今回の方が精度が高い。

 日本の国立がん研究センターも多目的コホート研究で「職業性座位時間とがん罹患リスクとの関連」を調査。その結果、座位時間が長いほど、男性はすい臓がん、女性肺がんにかかりやすいことが分かっています。

 国内外の研究結果から分かるのは、脚を動かさないことが健康によくない可能性です。論文は、座っているということががんを増やすことを示しています。

 在宅勤務が広がる時代だけに、積極的に意識的にイスから立ち上がり、動くことが今まで以上に大切です。

 テキサス大の研究は、30分座るのをやめるだけでいいと伝えています。サイクリングなど中程度の強度の運動なら、がんの死亡リスクは31%低下。ウオーキングなど軽い運動でも、8%下がるといいます。

 同大のスーザン・ギルクリスト准教授は「仕事中は1時間に5分ずつ立ち上がったり、エレベーターをやめて階段を使ったりする」ことを推奨。それくらい軽い運動でも、とにかく座位を続けず動くことが大切です。私もウオーキングをお勧めします。

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