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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【50代女性】近い将来、沖縄は生活習慣病の人で溢れかえる

公開日: 更新日:

鹿児島は不健康強豪県

 50代女性の不健康偏差値、総合1位は沖縄県で、2位以下を大きく引き離している。BMI(不健康偏差値88.3)、中性脂肪(同81.4)、γ‐GTP(同76.4)、尿蛋白(同75.9)など、いずれも際立っている。受診者たちは、この先10年以内に60代になるのだから、沖縄県はそう遠くない将来、生活習慣病を抱えた中高年で溢れかえるのは確実だ。

 2位は鹿児島県(40代では5位)。50代男性でも4位に入っており、不健康強豪県の代表格と言っていい。レーダーチャートを見てみよう。尿蛋白(全国1位)と空腹時血糖値(全国2位)の偏差値が飛びぬけて高く、血圧とBMIの偏差値も60を超えている。昨日取り上げた50代男性のレーダーチャートと、傾向は同じだ。県民性が男女共通に出ているとということか。

7~9位は四国勢

 3位から6位までは東北・北海道勢だが、7位から9位までを四国勢が占めている。そこで7位の徳島県と、8位の香川県のレーダーチャートを用意した。徳島県は尿蛋白が高く、香川県は中性脂肪が高い。徳島県の尿蛋白の不健康偏差値は66.9で、全国3位だ。香川県の中性脂肪は71.0で、こちらも全国3位となっている。また空腹時血糖値は徳島県が61.5、香川県が61.1と、いずれも"優秀"な成績をおさめている。

 徳島県と香川県は、実は糖尿病大国として全国的に知られている。糖尿病ネットワークの集計によれば、人口10万人に対する糖尿病の死亡数(2018年度)の全国1位は青森県(20.2人)だが、徳島県は2位(17.9人)、香川県は3位(17.8人)だ(全国平均は11.4人)。

糖尿病死亡数の差は医師の人数差

 ただし青森県と四国勢では、医師の数が違いすぎる。人口10万人当たりの医師数(2018年)で比較すると、青森県203.3人に対し、徳島県329.5人、香川県282.5人と、大差がついている。とくに徳島県は、人口当たりの医師数が全国1位。糖尿病患者が多いことから、糖尿病に関する医療水準は世界レベルで、コロナ以前は中国などからも大勢の患者を受け入れていた。そんな豊富な医療資源を有しているにも関わらず、これほど不健康偏差値が高いのだから、県民の素の健康状態はかなり深刻なのだろう。薬で下げても、なお健診の数値がこれほど悪いのだ。

 徳島県は尿蛋白の偏差値が高いが、それは慢性腎不全になるひとが多いことを意味していいる。日本透析医学会の「図説・わが国の慢性透析療法の現状(2016年版)」によれば、人口10万人当たりの透析患者数は377人で、ダントツの全国1位(全国平均260人)。ただし隣の香川県は285人で、徳島県と比べれば、かなり少なめだ。ちなみに香川県の中性脂肪の偏差値が高いのは、讃岐うどんの食べ過ぎが原因かもしれない。炭水化物のとり過ぎは、中性脂肪を上昇させる。

45位 新潟県は血圧とLDLが特に低い

 下位からは、45位の新潟県をピックアップしてみた。血圧(偏差値31.7)とLDLコレステロール(同31.1)が特に低いので、動脈硬化や循環器系の病気は少なそうだ。空腹時血糖値の偏差値も低く抑えられているし、BMI偏差値も低く、肥満が少ないことが分かる。

 ただし中性脂肪と尿蛋白は、少し高めだ。中性脂肪が高いのは、米どころだけに炭水化物のとり過ぎが原因かもしれない。尿蛋白のほうは、よく分からない。

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