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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

新型コロナはかつてのインフルエンザと同じ歴史をたどっている

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 新型コロナウイルスの感染者が再び増加している状況が続いています。多くのウイルスが苦手にしている高温多湿な環境でも感染が拡大しているとなると、やはりワクチンと急性期治療に使う抗ウイルス薬、重症化防止に効果が期待される抗体治療薬が開発されるまではゴールの見えない生活様式を強いられるでしょう。

 今回の新型コロナウイルスの流行を見ていると、季節性インフルエンザがたどってきた歴史を繰り返しているのではないかと感じます。

 インフルエンザの流行は国民全体の死亡率をアップさせます。その対策として、日本では昭和37(1962)年からインフルエンザワクチンの学童集団接種が実施されました。これによって、ほとんどの学童が予防接種を受けることになりました。

 ところが、学童集団接種は無意味ではないかとの意見が大きくなり、94年には廃止されてしまいます。その結果、どうなったかというと、学童集団接種が実施されていた70年代、80年代はインフルエンザによる超過死亡率が大幅に低下していたのに、中止された94年以降は急増していることが明らかになったのです。日本と米国の共同研究では、学童集団接種によって、1年間に3万7000~4万9000人の死亡を防止していたことがわかりました。インフルエンザで亡くなる人の多くは高齢者ですから、学童集団接種によって集団免疫が成立し、高齢者の死亡が抑えられていたのです。

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