大量の汗で悩む人に…日本初「多汗症」の保険適用薬が登場
「登校拒否や進学断念、うつ状態になる人、就職してから業務に差し支える人もいます。非常に生活の質(QOL)が低い疾患です」(横関教授=以下同)
原発性局所多汗症の重症度は重症度評価尺度(HDSS)で4つに分類できる。
患者5807人を対象にした全国疫学調査(2013年)では、重症に該当する人が半数近くを占めた。
一方で、原発性局所多汗症の医療機関の受診率はわずか6・3%という調査結果がある。
同調査では、47・8%の人が制汗作用のない、つまり効果が見られないデオドラント剤を使用しているという結果も出た。
「原発性局所多汗症の認識は高くなく、一部の診療所ですが『病気ではない、放置すれば治る』と帰されてしまった患者さんもいます」
今回、日本で初めて保険適用の外用治療剤が登場した。対象は、脇の下に大量の汗をかく多汗症(原発性腋窩多汗症)。これまでの治療法は、「まず塩化アルミニウムの外用剤→効果がなければボツリヌス毒素(ボトックス)の注射→効果がなければ塩化アルミニウムの外用剤とボツリヌス毒素の注射」という流れだったが、ファーストチョイスの外用剤塩化アルミニウムは保険適用ではなかった。