低血糖対策に 鼻にシュッとすればOKの点鼻剤グルカゴン登場
10月に、注射剤以外の低血糖治療剤としては初の選択肢である点鼻剤の「グルカゴン」が発売されました。室温(1~30度)で持ち運びができる1回使い切りの製剤で、薬剤は噴霧器に充填されています。花粉症の点鼻剤と同じように、点鼻容器の先を鼻に入れて注入ボタンを押すだけ。速やかに、そして非常に簡単に薬剤を投与できます。
■重症で意識がない患者に対し家族が簡単に使える
低血糖治療剤のグルカゴンでは、これまで承認されていたのは注射液でした。重症低血糖で昏睡状態に陥った場合、家族がそれを用いるわけですが、注射液なのでハードルが高い。
グルカゴンの粉が入った瓶に注射液で溶解液を入れ、瓶の中の粉を溶かし、それを注射器で吸い上げ、低血糖を起こした患者さんに筋肉注射するのです。使用法の説明を受けていても、昏睡状態になった患者さんを前に気が動転している状態で、一連の作業をするのは難しいですよね。それが点鼻剤でできるのですから、低血糖を何度か起こしている人、その家族にとってこれほど心強いものはありません。