AIが心電図からカテーテル治療の要否を判定 見落としを減らす
そこで、診断にかかる時間(通常30~60分)を最短にすべく、研究・開発されたのが「心電図1枚のデータ」のみで、カテーテル治療を必要とする患者を瞬時に判定するAIだ。心電図だけなら数分以内に検査が終わる。
このAIには、過去に慶応大病院の救急外来を受診した約4万人の心電図データを学習させている。
心電図データは、臨床で医師が見るときは紙に波形で表されるが、AIには波形の画像データとしてではなく2ミリ秒ごとの電位の数値データ(時系列データ)として取り込んでいる。
検証したところ、80%以上の精度でカテーテル治療の要否を判定できることが確認されたという。
「このようなAIは、夜間の当直など、専門医が不在のときにこそ大いに役立ちます。たとえば、胸痛を訴える患者さんが来院して循環器内科医がいない場合、心電図の検査はすると思いますが、心電図を読むには専門性が必要です。深夜に循環器内科医を呼び出すべきか迷うと、見落としが起こり得ます。そんな専門外の医師の診断の補助に活用することで、見落としを減らすことができるでしょう」
実用化はまだ分からないが、心電図データとAIの相性がいいことが、世界で初めて検証されたわけだ。