男性患者の診察、診断は具体的にどのように行われるのか
「次に超音波検査を行ないます。またベッドに寝てください」
超音波のプローブを陰嚢の精巣に当て、精巣を観察します。次に精索の部分を観察して、精索静脈瘤を超音波で確認します。精索静脈瘤の超音波検査の特徴は血管が拡大して見られることです。画面には黒いやや大きな楕円がいくつも確認されます。この楕円の径を測定して3・0mm以上のものが複数あれば、明らかな精索静脈瘤と言えます。
「では、お腹に力を入れたり、抜いたりしてください」
続けて行なう血流を見るドップラー検査では、青と赤の乱流が見られ、血液の逆流があることも分かりました。
精索静脈瘤は、静脈血が腎臓の静脈から精索静脈へ逆流するために、静脈叢が怒張、うっ血をきたした状態になります。解剖学的に左側に多いのが特徴です。
精索静脈瘤が不妊の原因になるのは、静脈血のうっ滞によって陰嚢内の温度が上昇し、精巣機能が低下するためだと言われています。
「触診と超音波検査の結果、Aさんには左精索静脈瘤があります。これが精液所見に影響している可能性が高いと思います」