新型コロナに感染した透析患者に有効な治療がわかってきた
そんな超ハイリスクな新型コロナウイルスに感染した透析患者に対しても、レムデシビルを使った治療法は有効なことがわかってきた。伊勢川医師は、日本で初めて血液透析を受けている新型コロナ患者にレムデシビルを投与して良好な結果を残し、日本透析医学会で発表している。
「レムデシビルは、入院が必要と判断されるような患者さんに対して投与すると、死亡率が低下することが報告されています。ただ、腎機能が低下している患者さんは、腎臓で薬の無毒化や排出が十分にできないため、レムデシビルに含まれる賦形剤などの成分が蓄積して有害になるリスクが指摘されていました。そのため、レムデシビルの投与は推奨されておらず、透析治療を受けている新型コロナ患者さんには対症療法を中心とした保存的治療しか行えていませんでした」
■レムデシビルを慎重に投与
そんな状況の中、伊勢川医師のもとに糖尿病による腎機能障害で1年半前から血液透析を受けている新型コロナ患者が運ばれてきた。呼吸不全が進行していて肺にも炎症があり、人工呼吸器が必要な状態、いわゆる重症患者だったが、本人の希望で気管内挿管は行わないことになっていた。