脳<上>「ポジティブ・シンキング」で脳神経細胞への悪玉ストレスを減らす
脳の病気の多くは血流の低下・悪化がベースにあるという。認知症も例外ではない。近年では血流障害がアルツハイマー病のリスクファクターになることを示唆する研究報告も多く見られる。
2016年に発表されたカナダ・マギル大学の研究グループの報告では「数多くの因子の中で、アルツハイマー病の早期に現れた変化のひとつが血流で、すべての脳領域とすべての時点で異常が見られた」という。
08年、米国・ノースウエスタン大学の研究グループの報告では「血流量の低下により、脳に十分なブドウ糖が供給されなくなった時、生化学的な反応が次々と起こり、粘着性の異常タンパク質をつくり出すプロセスが開始される」と発表している。
■決め手は脳の血流
これらの報告のように、脳の血流の悪化が認知症の主要な因子のひとつであれば、それを防ぎ、改善することで病気の予防や改善にもつながる可能性があるわけだ。では、脳の血流低下に何が大きく影響しているのか。
「運動と並んで、私が認知症撃退対策で重視しているのは『ストレスとのつきあい方』です。ストレスは脳の血流を悪くするばかりでなく、自律神経系や内分泌系など、心身のさまざまな面で脳の機能低下にダイレクトに影響します。ただし、ストレスには体に悪い『悪玉ストレス』と、ほどよい緊張や刺激で心身に好影響をもたらす『善玉ストレス』があることを知っておいてもらいたいと思います」