コロナ不調にアロマを活用 ラベンダーは睡眠改善の論文が多数
高齢者の認知機能アップにも期待
こういった発表もある。東京歯科大学精神科の宗未来准教授らが行った研究で、65歳から80歳までの健常高齢者約120人をランダムに半分に分け、一方にはアロマを、一方にはアルコール(プラセボ)を3カ月間、朝晩かいでもらった。研究の最初と3カ月後には、注意機能や作業記憶といった認知機能の評価テストであるPASATを実施。3カ月後、アロマ群は正答数がプラセボ群を有意に上回っていた。
宗准教授は「これまでアロマが高齢者の認知機能を高めるというランダム化での厳密な臨床試験での報告は諸外国でもなく、今後の検証に期待が持たれる」と述べている。
朝澤准教授が言う。
「アロマの香りの分子は、嗅覚を担う鼻腔でキャッチし、感情や本能をつかさどる大脳辺縁系に伝えられます。その情報は視床下部へ運ばれ、自律神経系や免疫系、内分泌系の機能のバランスを整えます。ストレスや疲労感などがある人は、日常的に取り入れるのもいいのではないでしょうか」
アロマセラピーで用いる精油には、種類ごとに特有の効能がある。たとえばスッキリしたければペパーミント、食欲抑制・代謝アップ・脂肪燃焼促進を求めるならグレープフルーツやレモン、食欲不振ならナツメグやコリアンダー。初心者に朝澤准教授がお勧めするのは、ラベンダー、オレンジ、イランイラン。
「ラベンダーはリラックス効果や不安、不眠改善に良く、オレンジは幸福感アップの効能もあります。イランイランはリラックス効果のほか、催淫作用がある。成熟期の男女にぜひ使ってほしい」
アロマは2~3種類を混ぜて使ってもOK。簡単に活用するならティッシュに精油を1~2滴たらし、身近な場所に置く。湯船に精油を1~7滴入れたり、洗面器に湯と精油1~3滴を入れ足浴をするのもいい。
「注意点としては、精油を直接肌につけない。オレンジやレモンなどは光毒性があり、使用後、日光に当たると肌トラブルが起こる可能性があるので、直射日光を避ける。妊婦や1歳未満の子供への使用は避ける。一度にたくさんアロマを使いすぎると気分が悪くなるかもしれませんので、数滴で」
さまざまな商品が出ているが、質を考えると100%天然またはオーガニックの精油を選んだ方がいい。