著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

男子バレー藤井直伸選手は30歳で…スキルス胃がんの早期発見には内視鏡よりバリウム検査

公開日: 更新日:

 これに対しスキルス胃がんは、潰瘍などを作らずに粘膜の下で広がるのが特徴です。内視鏡で見つけるのは困難で、しかも進行が速く、発見時には腹膜などに転移していることが珍しくありません。転移のないステージ1で見つかっても、5年生存率は15%ほど。一般の胃がんとは違い、厄介ながんです。

 一般の胃がんはピロリ菌や喫煙などの影響で長い時間をかけて潰瘍ができ、がん化します。50代から増えはじめ、80代にピークを迎えるのはそのためです。女性との比較で喫煙率が高い男性にも多い。

 スキルス胃がんはピロリ菌とはほとんど関係がありません。20代、30代の若い方や女性にも発症することがあります。

 では、難治性のスキルス胃がんを少しでも早く見つけて治療するにはどうするか。このタイプはX線で見つかることもあり、内視鏡よりバリウム検査がベターです。ふだん内視鏡検査を受けている人も、2年に1度は自治体のがん検診を利用するなどしてバリウム検査を受けることをお勧めします。

 新たな治療法の開発も期待できるかもしれません。国立がん研究センターと慶応大の研究チームは、スキルス胃がんに特徴的な複数の遺伝子異常を特定。その異常を標的とする既存の分子標的薬を、胃がんのマウスに投与すると、がんの増殖が抑えられたり、腹膜播種が消えたりしたのです。4人に1人は既存薬の効果が期待できるそうですから、新たな治療法が開発されるのも、遠くないでしょう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ