特殊な心筋梗塞「MINOCA」はどんな病気なのか 世界中で注目
「予後については、院内死亡率が0.9~1.1%、1年死亡率は3.5~4.9%で、一般的な心筋梗塞(それぞれ3.2%/6.7%)より良好というデータもありますが、ほとんど差がないという報告や、逆に悪いというデータ(危険度1.16~1.27倍)もあるため、軽視することはできません。いずれにせよ、しっかり診断されたうえで適切な治療が行われることが大切です」
■病院によっては見逃される可能性も
なぜMINOCAが起こるのかについてはまだはっきりしていないが、いくつか原因が指摘されている。
「まず、冠動脈内のプラークが不安定になって破綻することが一因と考えられています。プラークの破裂、びらん、石灰化結節などが生じると、そこに血栓ができて、より末梢の血管に詰まることがあります。また、末梢の血管はけいれんしやすくなるので、血栓も併せて虚血が生じる可能性があります。OCT(光干渉断層法)と呼ばれる血管内画像診断法で、MINOCA患者の冠動脈を診ると、半分に破綻しそうなプラークが確認されたという報告があります。また、冠動脈の解離や機能異常も原因と考えられ、冠動脈攣縮や微小血管攣縮による循環障害も認められています。ほかにも、一部のMINOCA患者では血液が固まりやすいと報告されていて、血栓塞栓症を起こす心房細動やリウマチ性弁膜症なども原因のひとつに挙げられます」