堀田秀吾
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堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

人間の記憶は外部からの情報や圧力で容易に歪んでしまう

公開日: 更新日:

 人間のウソ──というのは、バレるものなのか? 本日は、その点について考えてみたいと思います。

 米国シアトルにある脳指紋法ラボラトリーズ社のファーウェル博士は、「見たものを見ていないと言い張っても見破ることができる」と公言しています。ウソは、ある程度見破ることができるというのです。

 人間には、「P300」と呼ばれる脳波の波形があります。既知のものを認識したとき、およそ300ミリ秒から500ミリ秒後にその脳波が表れ、測定した際にP300の波形が表れれば、ウソをついている可能性は高くなる……。ウソ発見器などと呼ばれるものは、こういった脳波の波形を参考にしているんですね。

 余談ですが、ここ日本では自己負罪拒否特権といって、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」とする原則が存在します。自白することは、自分の権利。すなわち、強制的に吐かせたり、他者が明らかにすることは禁じられています。自白剤を使った捜査が認められていないのも同様の理由からです。

 話を戻しましょう。ファーウェル博士は、「P300でわかるのは容疑者が何かを知っているということだけ」と話しています。例えば、窃盗犯が洋服に興味がなければ、被害者がどんな服装をしていたかは知覚にとどまっていない可能性がある。結果、P300を使っても判断が難しくなってしまう、と。また、研究者の中にはP300の効果に懐疑的な人もいます。やはりこの世にウソを見抜く完全な装置など存在しないと言えそうなのです。また、「この人はウソをついているに違いない」といった“前提”ありきで話を進めることは、とても危険な考え方です。

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