著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

人間の記憶は外部からの情報や圧力で容易に歪んでしまう

公開日: 更新日:

 ワシントン大学のロフタスとパーマーの研究(1974年)に、「人間の記憶は、外部からの情報や圧力で容易に歪んでしまう」というものがあります。ロフタスは、被験者に自動車事故の映像を見せ、その後、事故についてAグループには「車が激突したとき、どのくらいのスピードでしたか」と聞き、Bグループには「車がぶつかったとき、どのくらいのスピードでしたか」と聞きました。すると、「激突」という言葉を使用したグループの方が、「よりスピードが出ていた」と答えたのです。

 さらに、その1週間後に再び同じ被験者を集め、今度は映像を見せずに事故について質問しました。「ガラスが割れるのを見たか」という質問をしたところ、「激突した」と質問した人は、「ぶつかった」と質問した人の倍以上、「割れていた」と回答したそうです。実際には、ガラスは1枚も割れていなかったにもかかわらずです。

「激突」という前提があるから、記憶や証言が歪んでしまう。「ヒトの記憶は、自由と同じで、もろくはかないものだ」とはロフタスの言葉です。ウソと決めつけたり、こういう人物だからと決めつけたりすると、泥沼にハマってしまう可能性がある。ウソを見破ることは難しい。だからこそ、先入観や前提にとらわれないように気を付けなければいけません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”