アルコール性認知症はどのくらいお酒を飲んでいるとリスクがあるのか
コルサコフ症候群に移行すると記憶障害が原因で話のつじつまを合わせようと作り話をするようになり、「酔っぱらうとウソをつく人」というレッテルを貼られ、病気と認知されるまでに時間がかかる患者さんも少なくありません。そうなると回復は難しくなります。
従って早期発見がポイントとなります。飲酒量の多い家族、特に高齢者がいたら記憶力の低下、意識障害、ふらつきなどに注意して観察してください。少しでもおかしいなと感じたら、まずはかかりつけ医に相談してください。
それでは注意すべき大量飲酒とはどの程度でしょうか。厚労省の「健康日本21」の指標が参考になります。アルコール依存症などの問題を抱える多量飲酒とは、「1日平均60グラム以上の飲酒」と定義されています。これは成人男性の1日のアルコール平均摂取量の3倍以上の量です。こうした多量飲酒に加えて、飲酒時に食事をほとんど取らない方はウェルニッケ脳症の原因となるビタミンB1不足に陥りやすい。さらに偏食が多く、毎日インスタント食品やスナック菓子を消費しているような食生活の方も発症リスクが高まります。ビタミン不足の場合は貝類や山菜、サプリで補給しておくとよいでしょう。
▽永澤守(ながさわ・まもる) 2002年3月福井医科大学(現・福井大学医学部)卒業。美濃市立美濃病院内科、東京さくら病院および同認知症疾患センターなどの勤務を経て、現在はかつしかキュアクリニック院長。