「自宅だから、自由に動ける」 諦めていたことにもチャレンジ
在宅医療を開始することになったきっかけや事情は、みなさんそれぞれ違います。一方で、一様に戸惑われることもあります。そのひとつが、「自分で選択する」ということ。
病院では、いわば病院のルールにのっとって生活がまわりますが、自宅での場合、患者さんの嗜好ややり方を反映できます。別の言い方をするなら、患者さん自らがどうしたいかを考え、私たち在宅医療チームと一丸となって、望む「カタチ」をつくり上げていくということになります。
入院中は病院の医師や看護師の指示に従い、食事や投薬の時間も決められ、すべてにおいて管理されることが当たり前と受け入れてきた患者さんならば、なおさらそのギャップを感じることでしょう。
しかも健康だった時とは違い、相対的にADL(日常生活動作)のレベルが落ちている中で、自宅での日常を取り戻すことは難しく、「自分がやりたいこと」といっても、体のレベルに沿ったものになります。
そんな時、当院では医師や診療パートナーが、患者さんの本音をできるだけくみ取り、選択肢を多く用意しながら、患者さん自身や家族が意思決定する過程をサポートするように努めています。一歩踏み込み、患者さんはなぜそれを希望するのかという観点でじっくり傾聴して、その時々の患者さんの思いや価値観、嗜好を理解するように努めています。