糖尿病の人の口の中…乾きやすく細菌、カビ、舌苔が繁殖しやすい
逆に歯周病が糖尿病を発症させたり、重症化させるのは、歯周病の病巣から出る毒素や炎症物質が血液を介して全身に広がり、それがインスリンの働きを低下させ、血糖値を上げるからだ。血糖コントロールが悪くなって、感染症に弱くなると、虫歯が増えてきてもおかしくない。
「ハッキリした統計データはありませんが、臨床の場での印象では糖尿病の人は虫歯が多い印象があります。とくに、糖尿病の人の虫歯は、健常な人ならまずできないであろう、下あごの前歯にも虫歯ができやすい。本来、下あご前歯の裏側には再石灰化能の高い唾液腺の開口部があり、虫歯になりにくい部位です。しかし、糖尿病の人は、高血糖で口が乾き、唾液が出にくいため、虫歯ができやすいのです」
■しっかり口腔ケアすれば血糖値も下げられる
糖尿病の人の口の中は口腔カンジダ症も発症しやすくなる。
「この病気は、真菌の一種であるカンジダ菌による口腔内疾患のひとつで、舌や頬など口腔粘膜に付着した白い苔のようなものです。出血したり痛みがあります。もともとカンジダ菌は体内に常在していますが、この菌は日和見菌で、唾液の分泌が減ったり、免疫が落ちるなどすると悪さをするのです」