「腐ったリンゴ」の実験…組織に悪影響を与える人物とは?
上司や同僚と仕事をするとき、みなさんが最も回避したいことは何でしょうか? たとえば、足を引っ張られ、生産性が低下する──などは多くの人が避けたい環境でしょう。
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で組織行動学を研究するウィル・フェルプスらは、組織やグループで仕事(作業)をするとき、どのような人物が悪影響を与えるかを明らかにした「腐ったリンゴの実験」(2006年)を行っています。日本では、たった一人の存在が悪影響を及ぼすことを「腐ったミカン」と表現しますが、こうしたケースは万国共通とは興味深いですね。
フェルプスは、グループに悪影響を与える人間は次の3つの傾向があると指摘しています。①性格が悪い人②怠け者③周りを暗くする人(愚痴や不満が多い人)です。
そこで、この実験では20代男性の仕掛け人に①②③を演じてもらい、何も知らない被験者グループに紛れ込ませ、どのような影響が明らかになるかを調べました。
結果は、みなさんの想像通り。仕掛け人が入るとグループのパフォーマンスは、なんと30~40%も低下したそうです。仕掛け人が怠け者を演じれば、引きずられるように他のメンバーも労力をかけずに仕事をしなくなり、仕掛け人が愚痴を吐けば、連鎖するように仕事の愚痴を吐くように……。